🔬 不器用パパの休日

Pentium 4からRTX 5090へ ― 非エンジニアの自作PC 20年史

はじめに ― この記事は「スペック自慢」ではありません

「自作PCの構成紹介」と聞くと、ハイスペック自慢に見えるかもしれません。

でもこの記事は違います。

自分は元・自動車整備士で、今は電子部品メーカーの工場で働いている「普通の会社員」です。ITエンジニアでもなければ、PCに詳しいわけでもない。ただ、やりたいことが出てくるたびに、少しずつPCを進化させてきた。その20年分の記録です。

「自分もPCいじってみたいけど、詳しくないし……」と思っている方にこそ読んでほしい。専門知識がなくても、自作PCは続けられます。


初代(2005年頃)― 父親のお下がりで始まったPC生活

構成

パーツスペック
CPUIntel Pentium 4
ケースノーブランド(自分で購入)

父親が使っていた自作PCをそのままもらいました。

正直、CPUが何で、マザーボードが何で……なんて、当時は全く気にしていません。ただ「PCが手に入った」くらいの感覚です。

ただ一つだけ覚えているのは、ケースが気に入らなくてケースだけ自分で買い替えたこと。ノーブランドの安いケースでした。

振り返ると、これが「自分でPCのパーツを選ぶ」という行為の、一番最初の体験でした。中身は父親のおさがり。でも外側だけは自分で選んだ。ここが全ての出発点です。


2世代目(2013年3月)― 「動画編集がしたい」で初めての自作

構成

パーツスペック
CPUIntel Core i7-4770
マザーボードASUS H87-PRO
GPUELSA GeForce GTX 760
メモリDDR3 4GB × 2(計8GB)
電源SilverStone Strider Plus 750W
ケース初代のノーブランドを続投

なぜ組んだのか

きっかけは動画編集をやってみたかったから。

Pentium 4ではどうにもならないことは明白でした。そこで初めて「パーツを自分で選んで組む」という経験をしました。ケースだけは初代のものをそのまま使い回し。

当時のi7-4770は、一般用途では十分すぎる性能。GTX 760も動画編集には必要十分なミドルクラスGPUでした。

初めての自作は、わからないことだらけ。マザーボードにCPUを載せるときの「パキッ」という音にビビったのを覚えています。ネットで調べながら、一つずつ組み上げていく作業は、整備士時代にエンジンを分解・組立していた感覚に近かったかもしれません。

で、動画編集はどうなったのか

友人の結婚式ムービーを作って、満足して終わりました。

数回編集しただけで「もういいかな」と。動画編集のために自作PCを組んだはずが、その後はほぼネットサーフィン専用機に。こういうこと、自作PC経験者なら一度はあるんじゃないでしょうか。

でも、ここで組んだPCが次の約9年間の土台になったので、結果的には良い投資だったと思っています。


2.5世代目(2022年5月)― MinecraftのためにGPUだけ換装

構成変更点

パーツ変更内容
GPUELSA GTX 760 → ZOTAC GeForce RTX 3060 Ti
メモリDDR3 4GB × 2 → DDR3 4GB × 4(計16GB)

きっかけはMinecraftの影MOD

2世代目を組んでから約9年間、ネットサーフィン以外ほとんど使っていなかったPCに転機が訪れました。

Minecraftを始めたんです。

最初はバニラ(MODなし)で楽しんでいましたが、YouTubeで影MODの映像を見て「これやりたい」と。導入してみたものの、GTX 760では動作が重すぎて断念。ここでGPUのアップグレードを決意しました。

3060 Tiを選んで、後に気づいた後悔

購入したのはRTX 3060 Ti(VRAM 8GB)。

当時はVRAMの容量なんてそこまで気にしていなくて、3060 Tiの方がベンチマーク性能が高いからこっちでいいか、くらいの判断でした。

でも後にAIを始めてから、「RTX 3060(VRAM 12GB)にしておけばよかった」と痛感することになります。

AI用途ではGPUの処理性能よりも、VRAMの容量が決定的に重要。8GBと12GBの差は数字以上に大きい。これは当時の自分には想像もつかないことでした。

ついでにメモリも4GB × 4の16GBに増設。CPUは9年前のi7-4770のまま。それでもMinecraftの影MODは快適に動きました。


3世代目(2024年2月)― Windowsサポート切れを機にフルリプレース

構成

パーツスペック
CPUIntel Core i5-13500
マザーボードASUS ROG STRIX Z790-F GAMING WiFi
GPUZOTAC GeForce RTX 3060 Ti(続投)
メモリDDR5-5600 32GB × 2(計64GB)
ケースFractal Design Pop Air

なぜ全とっかえしたのか

Windows 10のサポート終了が迫っていて、Windows 11に上げようとしたところ、旧マシンのCPUがWindows 11の要件を満たしていませんでした。

CPUを変えるならマザーボードも変わる。マザーボードが変わるとメモリ規格もDDR3からDDR5に変わる。結局、実質フルリプレースです。

3世代目のパーツ一式。ASUS ROG STRIX Z790-F、DDR5メモリ、Intel Core i5

「また細く長く使う」ための選択

ここで意識したのは、2世代目を9年使い続けた経験です。

「どうせまた長く使うなら、メモリ規格は最新のDDR5にしておこう」 と判断しました。

そしてメモリ容量は64GB

友人には「そんなにいらんだろ」と散々言われました。正直、この時点ではAIのことなんて全く考えていません。ただ、長期目線で余裕のある容量を選んでおいた方が後悔しないだろう、というシンプルな判断でした。

この選択が正しかったことが、約1年後にわかります。

ケースも約20年ぶりに交換

3世代目で、2005年から使い続けてきたノーブランドケースをついに卒業しました。

新しく選んだのはFractal Design Pop Air。選んだ理由はいくつかあります。

  • 電源ユニットにフィルターがある(掃除しやすい)
  • 側面ガラスパネル(中が見えるのは単純にテンションが上がる)
  • 光学ドライブベイがある(DVDドライブをまだ使う場面がありそうだった)

実用性と見た目、両方に満足できるケースでした。

3世代目の完成。Fractal Design Pop Airケース内部、RTX 3060 Ti搭載

GPUは3060 Tiを続投

CPU・マザボ・メモリ・ケースを全部変えたのに、GPUだけは2022年に入れた3060 Tiをそのまま使い続けました

理由はシンプルで、当時の用途では3060 Tiで十分だったから。ゲームはMinecraft中心だし、動画編集もDaVinci Resolveで問題なく動く。

Intel問題について

購入した直後に、第13・14世代IntelプロセッサのVmin Shift問題が話題になりました。

調べたところ、自分のi5-13500は対象から外れていたのですが、正直あまり良い気分ではなかったです。タイミングが悪かった。

とはいえ、実害はなかったのでそのまま使い続けています。


3.5世代目(2025年)― ローカルAIのためにRTX 5090を投入

構成変更点

パーツ変更内容
GPUZOTAC RTX 3060 Ti → ZOTAC GAMING GeForce RTX 5090
電源SilverStone 750W → MSI MAG A1250GL PCIE5(1250W)

AIとの出会い

RTX 5090を手に入れた頃、ローカルでAIを動かす世界を知りました

画像を生成したり、テキストを音声に変換したり、大規模な言語モデルを自分のPC上で動かしたり。こんなことが個人のPCでできる時代が来ている。

ここで、過去のパーツ選びの「答え合わせ」が起きました。

過去の選択AI視点での結果
3世代目のメモリ64GB(DDR5)正解。 AIモデルの読み込みや処理に64GBは最低限欲しい水準
2.5世代目のRTX 3060 Ti(VRAM 8GB)後悔。 VRAM 12GBのRTX 3060にしておけば、もう少しやれた

友人に「そんなにいらんだろ」と笑われたRAM 64GBは正解。一方、何も考えずに選んだVRAM 8GBは裏目に出た。メモリは「余裕を持って選ぶ」が正義だと、身をもって学びました。

実際にRTX 5090でどんなAI環境を構築したかは、RTX 5090でローカルAI環境を構築した話に詳しく書いています。

Macか、自作PCか

ローカルAIに興味を持って、最初に悩んだのは**「いっそMacに乗り換えるか」**ということでした。

Apple SiliconのMacは、統合メモリでAIモデルの推論が動く。環境構築もシンプル。正直、惹かれました。

でも最終的に自作PCを選んだ理由は2つ。

  • これまでパーツのアップグレードで使い続けてきたスタイルを変えたくなかった
  • 画像生成(Stable Diffusion系)をやりたかった。これはNVIDIA GPUのCUDAが圧倒的に有利

Macに行くということは、この20年間の「パーツを足して育てていく」というやり方を捨てることになる。それは自分の性に合わなかった。

RTX 5090を手に入れた経緯

RTX 5090は発売直後から品薄で、普通に買えるものではありませんでした。

抽選販売に応募して、当選したから購入できたというのが実情です。定価で買えたのは運が良かった。

なぜRTX 5090なのか

VRAM 32GB。これが決定的な理由です。

ローカルで動かしたいものは具体的にこのあたり。

  • 画像生成(ComfyUI + Stable Diffusion系モデル)
  • 大規模言語モデルの推論(ollama経由でローカルLLM)
  • 音声合成(テキスト読み上げ用のTTSモデル)

RTX 3060 TiのVRAMは8GB。画像生成は何とかなるけれど、大規模なAIモデルを動かすには全く足りない。

2.5世代目で「VRAMをケチった」後悔があったからこそ、今回はVRAMの容量で妥協しないと決めていました。

電源もMSI MAG A1250GL(1250W)に交換。RTX 5090の消費電力は575Wなので、750W電源では足りません。PCIe 5.0対応の電源ケーブルが使えるモデルを選びました。

RTX 5090搭載後のPC内部。ZOTAC GAMINGのLEDが光る


おまけ ― パーツは「捨てる」のではなく「循環させる」

自作PCの良さは、アップグレードしたときに余ったパーツを別の用途に回せること。我が家ではパーツが世代を超えて循環しています。

子どものPCデビュー

会社の同僚がPCを買い替えるタイミングで、格安で1台譲ってもらいました。

パーツスペック
CPUIntel Core i7-9700
マザーボードMSI MAG Z390 TOMAHAWK
GPUGIGABYTE GTX 1660ZOTAC GeForce RTX 3060 Ti
メモリDDR4 16GB × 2(計32GB)

ここに、メインPCから外したRTX 3060 Tiを載せ替えました。

自分のメインPCでは「VRAM 8GBで物足りない」と感じていた3060 Tiも、子どものMinecraftやゲーム用途としては十分すぎるスペック。新品を買う必要なく、子どものPC環境が一気にグレードアップしました。

旧PCがMinecraftサーバーに

3世代目でフルリプレースしたとき、2013年から使っていた旧パーツ一式が丸ごと余りました。捨てるのはもったいないので、Ubuntuをインストールして自宅用のMinecraftサーバーに転用

パーツスペック
CPUIntel Core i7-4770
マザーボードASUS H87-PRO
GPUELSA GTX 760GIGABYTE GTX 1660
メモリDDR3 4GB × 4(計16GB)
電源SilverStone Strider Plus 750W

子どものPCから外れたGTX 1660がここに移動。GTX 760は最後のお役御免です。

パーツの流れを整理すると

【メインPC】RTX 5090 ←(新規購入)
     ↓ RTX 3060 Ti を押し出し
【子どものPC】RTX 3060 Ti ←
     ↓ GTX 1660 を押し出し
【Minecraftサーバー】GTX 1660 ←
     ↓ GTX 760 が引退

1枚のGPUを買うと、3台のPCが玉突きでアップグレードされる。 これが自作PCの最大のメリットの一つだと思います。メーカー製PCでは、こういう使い方はなかなかできません。


20年の変遷を振り返って見えたこと

「やりたいこと」が先、スペックは後

時期やりたいこと対応
2005年(なし。もらっただけ)ケースだけ交換
2013年動画編集初自作
2022年MinecraftのMODGPU換装
2024年Win11対応フルリプレース
2025年ローカルAIGPU + 電源交換

スペックを上げたくて上げたことは一度もありません。毎回、「やりたいことがあって、今の構成では足りない」から変えた。これが20年間で一貫している判断基準です。

「全替え」と「部分交換」を使い分ける

5回の変化のうち、フルリプレースは2回(2世代目と3世代目)だけ。残りはGPUだけ・メモリだけといった部分交換で済ませています。

「全部新しくしないといけない」と思い込む必要はない。 ボトルネックを見極めて、そこだけ対処する。それが一番合理的だし、お財布にも優しい。

メモリは「余裕を持って選ぶ」が正義

これは20年間で身をもって学んだ教訓です。

  • RAM(メインメモリ)64GB:「いらない」と言われても積んだ → AIで正解だった
  • VRAM(ビデオメモリ)8GB:「十分」だと思って選んだ → AIで後悔した

GPU選びでは、ベンチマークの数字だけで判断すると後悔する可能性があります。特にAIや画像生成に少しでも興味があるなら、VRAM容量を最優先で考えた方がいい

パーツは捨てずに循環させる

アップグレードで余ったパーツは、家族のPCや別用途のサーバーに回す。1枚のGPUを買い替えるだけで、家庭内の3台が玉突きでグレードアップする。自作PCは「1台」ではなく「エコシステム」で考えると、コスパが最大化されます。

詳しくなくても、20年続けられる

繰り返しますが、自分はITエンジニアではありません。元・整備士で、今は工場勤務。PCの専門知識があるわけではない。

それでも20年間、自分のPCを自分で組み続けてこられました。わからないことはその都度調べればいい。最近はAIに聞けば大抵のことは教えてもらえます。

「詳しくないから」は、始めない理由にならない。


現在の最終構成

参考までに、2025年現在のフルスペックを載せておきます。詳細は装備一覧もご覧ください。

パーツスペック
OSWindows 11 Pro
CPUIntel Core i5-13500
マザーボードASUS ROG STRIX Z790-F GAMING WiFi
GPUZOTAC GAMING GeForce RTX 5090(VRAM 32GB)
メモリDDR5-5600 32GB × 2(計64GB)
電源MSI MAG A1250GL PCIE5(1250W)
ストレージ(システム)WD Black M.2 SSD 2TB
ストレージ(データ)Monster Storage M.2 SSD 2TB
ストレージ(バックアップ)東芝 HDD 1TB
ケースFractal Design Pop Air

おわりに

Pentium 4から始まって、RTX 5090にたどり着くまで約20年。

振り返ってみると、PCの進化は「自分のやりたいことの進化」そのものでした。動画編集、Minecraft、そしてAI。次は何がやりたくなるのか、自分でも楽しみです。

そして余ったパーツは子どものPCに載せ替え、さらに余ったパーツは自宅サーバーへ。1台のPCだけでなく、家庭内でパーツが循環して、全体がじわじわと底上げされていく。 これが自作PCを20年続けてきた一番の面白さかもしれません。

もしあなたが「自作PCに興味はあるけど、自分には無理かも」と思っているなら、まずはやりたいことを見つけるところから始めてみてください。スペックは後からついてきます。


この実験で使った機材 【PR】

ZOTAC GAMING GeForce RTX 5090 SOLID — VRAM 32GBでローカルLLMも画像生成も動かせる。20年間の自作PC史で最大の進化ポイント

Fractal Design Pop Air Black TG Clear Tint — 電源フィルター付き、ガラスパネルで中が見える。10年以上使ったノーブランドケースからの乗り換え先