🔬 不器用パパの休日

三層構造を作ったけど、正直まだ腑に落ちていない ── Obsidian × AI 環境構築の話

Obsidianを開いて、まず手が止まった。

フォルダをどう分ければいいのか、分からなかった。第1弾で「過去の自分を、ちゃんと呼び戻せるようにしておきたい」と書いた。だったら、その置き場所をどう組むか。そこで最初につまずいた話を、今回は正直に書く。

このシリーズは全部で7〜8回。今回は第3弾で、「環境をどう組んだか」の回だ。先に言っておくと、きれいに完成した自慢話ではない。組んでみて、いまだに腑に落ちていない部分も込みで書く。

やってみた理由

第1弾で「消えないローカルMarkdownを脳の置き場所にする」と決めた。決めたのはいいが、置き場所には形がいる。フォルダの分け方、命名の仕方、AIにどこまで触らせるか。何も決めずにメモを放り込むと、結局また「溜まってるけど引き出せない」状態に戻る。それは過去に一度やった失敗だ。

最初は世間のテンプレートをそのまま使おうとした。でも、しっくりこなかった。

整備士をやっていた頃の感覚で言うと、人の工具箱で仕事をする感じに近い。工具は揃っているのに、どこに何があるか体が覚えていないから、いちいち探す。借り物の構造は、手に馴染まない。

かといって完全に自己流で組むと、たぶん破綻する。だから、世間の定番を下敷きにしつつ、自分の手順で組み直すことにした。下敷きにしたのが「三層構造」と「PARA」という2つの考え方で、組むのはClaude Codeと相談しながら進めた。

やったこと

1. 「人間の領域」と「AIの領域」を分けた(三層構造)

一番こだわったのが、ここだ。自分のVaultは、ざっくり三層に分けてある。

第1層 ── 人間の領域20_thinking) 自分の考え・判断・気持ちを書く場所。AIには書かせない

第2層 ── AIの領域60_ai_output) AIがまとめたもの、清書したものを置く場所。「まだ生煮え」と分かるように隔離する。

第3層 ── 意思決定の記録decisions) 「なぜそう決めたか」を残す場所。後から「なんでこうしたんだっけ」を辿れる。

第1層 ── 人間の領域 (20_thinking) 自分の考え・判断・気持ち。AIには書かせない。 第2層 ── AIの領域 (60_ai_output) AIがまとめた・清書したもの。「まだ生煮え」と分かるよう隔離。 第3層 ── 意思決定の記録 (decisions) 「なぜそう決めたか」を残す。後から辿れる。
Vault の三層構造 ── 人間の領域と AI の領域を分け、決定の記録を残す

なぜわざわざ分けたか。理由は単純で、自分の生の考えに、AIの言葉を混ぜたくなかったから。AIの文章はうまい。うますぎて、放っておくと自分の言葉を上書きしてしまう。誰が考えたことなのかが曖昧になるのが、どうしても嫌だった。

……と、ここまで偉そうに書いておいて、正直に告白する。

この三層構造、まだ完全には自分のものになっていない。

Claude Codeと相談しながら作ったから、形はある。でも毎回「このメモはどっちの層に置くんだっけ」と迷う。頭で分かっているのと、手が勝手に動くのは別物だ。整備士のときも、新しい工具箱のレイアウトに慣れるまでは時間がかかった。たぶん、それと同じことが起きている。

2. CLAUDE.md に「自分のルール」を書いた ── そして膨らんだ

CLAUDE.md というのは、AIの振る舞いをファイル1つで決める設計図のようなものだ。「日本語で答えて」「お世辞は禁止」「このフォルダにはこう置く」みたいなルールを書いておくと、AIが毎回それを読んで動いてくれる。

これを自分用に設計した。最初は気持ちよかった。自分の考え方をルールにして残せるのが、工具箱に自分用の仕切りを足していくみたいで楽しかった。

ところが、自分の考えを細かく残そうとするほど、行がどんどん増えた。気づいたときには、ルールだけで300行を超えていた。

困ったのは量だけじゃない。ルールを盛りすぎると、今度はAIが全部は守ってくれなくなる。あれもこれもと書いた指示の一部が、するっと無視される。「さっき書いたルール、読んでないな?」と感じる場面が増えた。設計図が多すぎて、AIが読み切れていない感覚だった。

結局、整理のためにルールを2階建てに分けた。A層=どのAIにも効く普遍ルール、B層=Claude固有のルール。今はA層が約330行、B層が数十行。設計図のはずだったのに、設計図そのもののメンテナンスが必要になっている。道具を整えるための道具が、また手入れを要求してくる。これは完全に想定外だった。

3. PARA を下敷きにした(でも、まだ半分しか分かっていない)

フォルダの大枠には「PARA」という整理法を借りた。PARA は Projects(プロジェクト)/ Areas(責任領域)/ Resources(資料)/ Archive(保管)の頭文字で、世界中のObsidianユーザーがよく使う型だ。

これも正直に書くと、まだ半分しか腑に落ちていない。自分の理解では、ざっくりこういうことだ。

  • P ・ 今、動いているもの(進行中のプロジェクト)
  • A ・ ずっと続くもの(家庭や事業みたいな、終わらない責任)
  • R ・ ただの資料(後で参照するだけのもの)
  • A ・ 終わったもの(保管しておくだけ)

要は「今動いてる / ずっと続く / ただの資料 / 終わった」の4つに仕分けるだけ、と今は割り切っている。拡張版の細かい話も聞いたけれど、そこはまだ消化できていない。迷ったら後で直す、という前提で動かしている。

三層構造と PARA を合わせると、フォルダはこんな形になった。

20_thinking/      … 第1層・人間の領域(AIは書かない)
  └ decisions/    … 第3層・意思決定の記録(なぜそう決めたか)
60_ai_output/     … 第2層・AIの領域(生煮えの置き場)
30_projects/      … PARA  P:いま動いているもの
40_areas/         … PARA  A:ずっと続く責任
50_resources/     … PARA  R:ただの資料
99_archive/       … PARA  A:終わったもの

4. 取りこぼしが増えたので、Obsidian CLI もAIに使わせた

手作業でファイルを整理していると、取りこぼしが出る。数が増えるほど、ひとつずつ自分の手で触るのが追いつかなくなった。

そこで、Obsidianをコマンドラインから操作する道具(Obsidian CLI)も、AIに使わせることにした。自分が一個ずつ触るより、AIにまとめて動かしてもらう方が、取りこぼしが減る。ここは「自分の手で全部やる」をあきらめた部分でもある。

うまくいった点

  • 人間領域とAI領域を分けたのは、正解だった。 AIが書いた下書きを「まだ生煮え」と一目で扱えるので、自分の考えと混ざらない。
  • CLAUDE.mdに書いたルールは、効く。 AIが毎回同じ前提で動いてくれるので、いちいち説明し直す手間が減った。膨らみすぎる問題はあるが、効果自体は本物だ。
  • 借り物でなく自分で組む感覚は、しんどいけど楽しい。 整備士の工具箱と同じで、馴染むまでが大変なだけで、馴染めば一番速い。

失敗・課題

率直に書く。

  • 三層構造がまだ腑に落ちていない。 形はあるが、手が覚えていない。
  • CLAUDE.md が肥大化した。 300行を超え、設計図のメンテが目的化しかけている。次はこれを削る。
  • PARA の理解が半分。 動かしながら覚えるしかない。

ここまで書いて思うのは、これらを「完成させてから使おう」とすると、たぶん永遠に終わらないということだ。だから途中で考えを切り替えた。完成を目指すのをやめて、運用しながら直すことにした。腑に落ちていなくても、使い続けているうちに馴染む。整備と同じだ。

次にやること

  • 第4弾:データ準備。 過去のAIとの会話を、どうやってVaultに取り込んだか。これがなかなか膨大だった。
  • CLAUDE.md の整理。 300行超まで膨らんだルールを、運用しながら削る。

締め

借り物の構造は、手に馴染まない。

腑に落ちないまま使い続けて、少しずつ自分のものにしていく。それも整備と同じで、終わりはない。