入力から再参照まで、一周はした ── Obsidian×AI、最終回

入力から整理・記録・再参照までが一周でつながる仕組みのイメージ図

このシリーズもこれで最後だ。締めくくりに、今どこまで来たのかを正直に書いておく。

やろうとしていたことを一枚にすると、こういう流れだ。

入力 整理 記録 再参照 Windows側の作業記録 未確認 再参照が次の入力・判断に効く(一周) 構築済みの流れ まだ自分の目で確認できていない(Windows側)

本線の「入力→整理→記録→再参照」はひととおりつながった。ただし図の破線、Windows側の作業記録が本当に流れ込んでいるかは、まだ自分の目で確認できていない。そこも含めて正直に書いていく。

なぜObsidianを作り始めたのか

このシリーズは「考えが消えていく」という悩みから始まった(#1)。頭の中で考えたことも、あちこちのフォルダーでやった作業も、あとから「あれ、どうだったっけ」となって引き出せなくなる。それが地味に困っていた。Obsidianを触り始めたのは、その困り事を何とかしたかったからだ。

何を作ろうとしたのか

ただObsidianを置くだけでは足りない、とわりと早い段階で思っていた。入れて、整理して、記録して、あとから引き出せる。そこまで一本でつながって、はじめて「第二の脳」と呼べる気がしていた。逆に言えば、どこか一箇所でも人の手を止めてしまうと、続かない。だから最初から、入力から再参照までを一続きにすることを目指していた。

入力の入り口を整えた

まずやったのは、入力の入り口だ。通勤中に喋った音声メモも、作業中に書き殴ったものも、とにかく一箇所に投げ込めるようにした。

やりたかったのは、こういう状態だ。Obsidian環境を作り、入力の入り口も整備して、ローカルGPUで自動整理する。あとはトリガーだけで、入れたものが整理される。人間がやるのは「入れる」ところと「トリガーをかける」ところだけにしたかった。

ローカルGPUに整理を任せた

環境がひととおりできたことで、その整理の一次処理を、自宅のローカルGPUに任せられるようになった。1本の中に日記も、調べ物も、ブログのネタも混ざっているメモを、まず機械的に振り分ける。ここは文章を書かせるわけでも、最後の判断をさせるわけでもない。あくまで下ごしらえだ。

新しく投げ込むメモだけでなく、過去の記録も整理の対象にできるようになった。AIとの過去会話809件は索引化できたが、WindowsやWSLを含む作業ログ全体を処理し終えたわけではない。今のところ取り込めたのは、手を付けた範囲までだ。

WindowsとWSLの作業記録を集める

もうひとつやったのが、作業の記録を自動でObsidianに集めることだ。

Windowsのいろんなフォルダーで作業していても、Obsidianに書き込まれるようにした。ただ、正直に書くと、実際にちゃんとそうなっているかは、自分ではまだ見ていない。ここは確認が必要なところとして残っている。上の図で破線にしたのは、まさにこの部分だ。

WindowsのWSL環境で作業した場合も、その実行ログや作業ログがObsidianに入るようにした。そして、いつ何をやったかの要約がAI用のノートに入る。この「いつ何をやったか」が後から効いてくる。

人間が見るノートと、AIが見るノートを分けた

記録の置き方で工夫したのが、人間用とAI用でノートを分けたことだ。

自分が見る用のノートも作られるので、あとから見直したい時に自分でも確認できる。一方でAIには、現在地と過去にやったことを要約で渡す。ここで大事にしたのは、AIが見るのは原本ではない、ということ。原本ではないから、好きに操作していい形にした。こうしておけば、AIが要約を書き換えても、元の記録は無傷のまま残る。

分けた結果どうなったか、はデータ量で見るとわかりやすい。狙いは、AIが読む対象を要約のほうに絞ることだった。実際のうちの環境で数えてみると、AIが起動時に読む要約(今どこにいるか・やることリスト・判断の早見表など)は、合わせて約44KB。その裏にある作業ログの原文は、114本で約1MBだった。過去のAIとの会話は、原本が約30MB、そこから作った索引が約800KB。ファイルサイズで比べると、索引は原本のおよそ35分の1になった。

ここで比べているのはファイルサイズであって、実際に消費したトークン数ではない。運転中の入力トークンは測っていないので、「コンテキスト消費が35分の1になった」とは言えない。言えるのは、AIが参照する入口を、原本ではなく要約や索引に切り替えられたことまでだ。

この分け方にしたことで、AIの回答がどの要約や索引をもとにしているかは追いやすくなった。ただし、それで内容自体が正しいと証明できるわけではない。怪しいときは原本まで戻って確かめる必要がある。

「前これどうだったっけ」を拾えるようになった

この仕組みができて、地味に一番助かっているのがこれだ。

AIと会話しているときに、過去にどんな取り組みがあったかを見られるようになった。「前これどうだったっけ」と聞けば、過去の情報を拾い出してくれる。サブスクのAIチャットにあるメモリ機能のような動きを、自分の環境で実現した、という感覚に近い。

もっとも、うまくいくことばかりでもない。要約から「もう終わったこと」という完了状態が抜け落ちると、すでに片付いたはずのものを、また「これからやる候補」として出してくることが時々ある。要約のどこが悪いのか、原因を突き止めたわけではないので断定はできないけれど、現象としてはそういうことが起きる。完了状態が抜けた要約を直し、同じ質問をしてまた確かめる。今はそうやって一つずつ詰めている。

一周はした。ただし正しく確認する作業は残っている

ここまで書いておいて、「全部完璧に動いています」とは言えない。

自分の中での「一周した」は、全機能の動作を保証できた、という意味ではない。入力から整理、記録、再参照まで、設計と動線がひととおりつながった、という意味だ。

この最終回も、過去の作業ログと索引を引きながら書いた。再参照した記録が次の発信に戻ってきた、という意味ではここまでで一周だ。ただ、公開後の反応まで取り込み、次の記事に返すところはまだできていない。そこはシリーズが終わった後の運用課題として残る。

そのうえで、まだ自分で確かめていない部分が残っている。具体的には、Windows側の記録が本当にObsidianに入っているか、AI用ノートに入る要約の内容が妥当か、そして再参照したときに拾ってくる情報が正確か。このあたりを、一つずつ自分の目で確かめる作業だ。

「考えが消えていく」から始めて、入れたものが整理され、過去の取り組みも引き出せるところまでは来た。第二の脳は完成品というより、これから確認しながら回していくものだと思っている。少しずつ、さっきの「終わったことをまた出してくる」ような、同じことを繰り返さないための処理を入れていく必要がある。うまくいっていないところが見つかれば、それもまたここに書く。

※ シリーズ一覧: #1 導入から#7 実行エンジンまで

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