5090に、自分の2年半を全部読ませてみた ── AI×クリエイティブの実行エンジンにする実験

朝の光が入る作業机のイメージ(AI生成)

このアイキャッチ自体、本文に出てくるComfyUI体制で作った(指示から40秒)。

前回、「5090を使い切れていない」と書いた。

音声メモの仕分け係という地味な仕事を任せて、ようやく働き始めたところまでが前回の話。今回はその続きで、もう少し欲張った実験をした。

一晩で、過去のAI会話809件を全部読ませた

自分は2023年からChatGPTやClaudeと話してきて、その会話ログが809件たまっていた。技術の質問、ブログのネタ出し、子育ての相談、自己分析、書きかけの小説。2年半分の「考えてきたこと」が、Obsidianの中でそのまま眠っている。

これを全部、自宅のRTX 5090に読ませた。1件ずつ「何の話か・どのテーマか・家族の話みたいなデリケートな内容が入っていないか・1行でいうと何か」を抽出させて、機械が検索できる索引にする。

結果はこうだった。

  • 809件、約6時間で完走。1件あたり25秒くらい。
  • 課金ゼロ。クラウドのAIにやらせたら数十万トークンを消費する作業が、電気代だけで終わる。
  • 外部送信ゼロ。家族の話も健康の話も、1バイトも家の外に出ていない。

朝起きたら、自分の2年半の思考に「地図」ができていた。「あの話、前にAIとしたはずなんだけど」が、秒で引けるようになった。

……と言いたいところだが、正直に書くと、地図ができた翌日にさっそく限界も見えた。この記事の下書きをAIに手伝わせたら、1つ前の記事に自分が何を書いたかを、ちゃんと踏まえていなかった。せっかく索引を作ったのに、書く前にそれを開いて確認する、という当たり前の手順がAI側に染みついていない。地図は作って終わりじゃなくて、「毎回地図を見てから動く」という使い方ごと仕込む必要がある。道具というより、育てるものに近い。

ローカルAIは、賢くない瞬間がある

ただ、いいことばかり書くのはフェアじゃない。

ローカルLLMは、クラウドの最上位モデルと比べると明らかに「抜ける」。今回も、自分が明示的に決めたことと、AIが勝手に推測した自分の好みを混同する場面があった。コードを書かせれば、細かいバグを平気で混ぜてくる。

だから前回と同じ結論を、もう一段強くした形で運用している。5090は量をこなす下書き係。判断と品質チェックは上位のAI(と自分)

体制の話でいうと、少し変化があった。以前の記事で「Claude Codeに落ち着いた」と書いたが、最近そこにCodexが「設計レビュー係」として戻ってきた。Claude Codeが現場を回し、危ない設計をCodexが止める。ツールを渡り歩いていた頃とは違って、今は役割がはっきりしているから共存できている。

で、ここからが本題。「読ませる」の次は「作らせる」

索引づくりは、たぶん序章でしかない。

自分がRTX 5090にやらせたいのは、AI×クリエイティブの実行エンジンになることだ。こういう体制を組み始めている。

自分(やりたいこと・スケッチ・写真を投げる)
 → Claude(現場監督。要求を整理して指揮)
 → Codex(設計レビュー。危ないところを止める)
 → RTX 5090(手を動かす係)
     ├ ComfyUI: ブログの画像・イラスト・スタンプ
     ├ Blender: 3Dモデル・プリンタで刷れる部品の製図
     ├ コーディングLLM: スクリプト・Webアプリの骨格
     └ 分類・要約: メモや記録の整理(前回から継続稼働中)

実は最初の2つは、もう小さく動いた。

  • この記事のアイキャッチ候補は、ComfyUIに指示を投げて40秒で4枚出てきたうちの1枚だ。
  • 3Dプリンタ用に「SDカードとmicroSDの卓上ホルダー」を、Blenderを画面なしで動かすスクリプトから設計してみた。寸法指定どおりのSTLが出て、破綻チェック(穴あき・非多様体)もゼロ。あとは印刷するだけの状態で、カードがちゃんと刺さるかは次の休日の楽しみにしている(結果はここに追記する)。

この先は、電子工作の回路設計や、家にある部品・資材の台帳まで持たせて「買う前に、あるもので作れないか」を先に検討させるところまで行きたい。

「世界最高のエンジニアならどう作るか」

この構想で一番大事にしているのは、ツールの数じゃなくて設計思考のほうだ。

一流のエンジニアの仕事には共通点がある(本や発表資料からの受け売りも含めて)。

  1. いきなり作らない。何のために・どんな制約(寸法、電流、予算、安全)があるかを先に1枚に書く。
  2. 完成の定義を先に決める。「動いたらOK」ではなく「机の上で0.5秒以内に止まったら合格」のように、テスト条件から逆算する。
  3. 戻れるように作る。失敗しても前の状態に戻せる単位で進める。

実際、電子工作でモータードライバの電圧制約を見落として、設計をやり直したことがある。原因ははっきりしていて、「制約を先に書く」をサボったからだ。AIに手足が生えるほど、この規律は効いてくる。AIは「作れてしまう」ので、間違った要求のまま突っ走る速度も上がる。

あと、これは書きながら気づいたことだが、今回やっている「記録して、次に活かす」は、整備の仕事の循環そのものだ。車は、乗って、メンテして、その履歴から「次はだいたいこのくらいで傷んでくるな」を予測して、定期整備に落とし込む。壊してしまったなら「この乗り方をすると壊れる」という履歴が残る。AIとの付き合いも同じで、会話して、積み上げて、整理して、また会話する。履歴があるから、次の判断が良くなる。記録は、予防整備だ。

おわりに

前回「使い切れていない」と書いた5090は、少なくとも「自分の2年半を読み切る」仕事と「絵と部品の下書き係」までは働くようになった。

ローカルAIの本当の価値は賢さじゃなくて、**「量を、安心して、無限に任せられること」**だと思う。次は画像と3Dの2回目、その先に電子工作。うまくいってもいかなくても、またここに書きます。

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